フィロソフィ

 

どちらがお得?

システムの固定費をできるだけ抑えたい…!ですが、最適解と思われた選択肢が実はそうでないことも往々にしてあるわけで…。

ある日の午後のエンジニアたちのやり取りをご紹介します。


■Yさん

先日、AWSの営業さんと話す機会があったのですが、AWSはAmazonと直接契約するよりも代理店経由の契約の方が安いらしいです。

当社が使っているAWSAmazonと直接契約ですか?

■F社長

我が社はMicrosoftAmazonWebから申し込んだ直接契約ですね。

■Hさん

私も「AWSはC社経由での契約だと(C社の取り扱い量が多いから)数%の割引もある」と中の人から教えていただいたことがあります。やっぱりそうなんですねー。

■Yさん

AWSの営業さんからご紹介いただいたのもC社なのですよ!いただいたメールと資料を転送しますので、購入ルートの変更をご検討ください!コスト節約になると思います!

 

ちょっとまった!!!

 

■Aさん

一般的に代理店経由のライセンスやサービスの購入は、安くなる代わりに相応のデメリットが発生する傾向にあります。

AWSの代理店経由契約でよく挙げられるデメリットがこちら。

AWS 無料利用枠を使えない

②AWSの一部のサービスが利用できない

サポート利用時のタイムロス

機密情報漏えいのリスク

AWSパートナー(購入契約を取り交わした代理店自身)の事業継続性リスク

直接契約にするのか代理店契約にするのかは利用用途に応じて判断したほうがよいですよ。

■Aさん

落ち着きましたか?

■Hさん

落ち着きました。

■Yさん

同じく。

■Hさん

どのデメリットもイヤですが、②で使いたいサービスが該当していたら、すごく困りますね。

でも、代理店のサービスのラインナップに含まれていなかったらそうなりますよね…。

C社の方はフットワークも軽いし技術好きが多いから相談にのってくれそうだけど、契約事だとどうなることか…。

■Aさん

一番困るのは「機密情報漏えいのリスク」でしょう。

代理店経由ということはAWSのルートユーザーを代理店が保持することになるので、代理店側でなんでもできてしまう。

そのため、個人情報関連を扱うサイトの場合は、性悪説的観点からも問答無用で代理店契約は却下になってしまうと思われます。

■Hさん

クラウドサービスとは若干話が逸れますが、知人の会社で起きたトラブルを思い出しました。

会社のホームページ管理を外部委託していて 、委託先を変えようとしたら、知人の会社のトップドメインを委託先名義で取得されていたことが発覚し…。

委託先は移管や譲渡しないと言い、知人の会社はそんな形式で依頼していないと言い…。

■Aさん

外部ユーザーが絡まず社内だけで使用するシステムであればよいですが、そうでないシステムの場合は代理店経由の契約は厳しいと思われます。

今回のケースの場合、制約条件がどのような感じになるのかを先にC社に確認しておいた方がよいでしょう。

■ Hさん

判断基準はそのようになるのですね!

確かに情報漏洩は万一あったらペナルティが厳しいですし、そもそも万一が起きたらダメですものね。

私の考えが甘かったです。ご教示ありがとうございます!

■ Yさん

Aさん教えてください!

今回のAWS代理店の話は、契約上のみだと思っていました。「ルートユーザーが握られてしまう」というのは、どういう意味でしょうか。

■Aさん

通常、AWSで契約する為にはルートユーザーを発行して契約作業を行う必要があります。

そこを代理店が作業するならば、代理店がルートユーザーもしくはそれに応じた権限のアクセス権を持つ必要があるということです。

代理店への確認は「個人情報を扱うので弊社以外がアクセスできる状況にないか確認したい。ついては、代理店ではAWSユーザーは一切保持せず、当社にルートユーザーを提供可能か。」と質問するとよいでしょう。

■Y さん

ありがとうございます、理解できました!

代理店を利用する際の参考とさせて頂きます。

 


2022年半ばからの急激な円安は各方面に様々な形で影響を及ぼしています。

112日にMicrosoftが法人向けライセンスの価格改定(オンプレミス製品は20%、オンラインサービスは15%の値上げ)を打ち出したニュースは記憶に新しいでしょう。

Google Cloud Platform101日から新料金体系が適用されていますね。(こちらは料金引き下げとなったサービスもありますが…)

このようにIT系は大元のサービス提供元に米国企業が多いこともあり、予算見直しやシステムのクラウド化計画の修正検討を求められるシーンが増えると予想されます。

その際は上述のやり取りでも述べられているように、以下の流れを念頭に置くことをお勧めします。

①顧客または自社システムに求められる必要条件を整理し重要度付けをする
②サービス提供元、代理店など複数の購入先候補から価格表とサービス提供条件、制限事項を入手する
③①と②を突き合せ、①を満たしている購入先候補を選択する

迷うことがありましたら、ぜひキャリッジリターンにご相談を!

投稿者プロフィール

柴山智子
柴山智子
品質管理・保証分野で経験を積み、2020年にキャリッジリターンに入社。座右の銘は「情けは人のためならず」、好きな技術はMicrosoft PowerPlatformとサイボウズkintoneなお茶と日本酒をこよなく愛する40代。
2022年3月にJRCAにQMS審査員補として登録受理されました。

プロフィール画像は正体情報を絶賛募集中の祖母の形見の石(1980年代ごろ十勝で購入)です。

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